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3Dプリンティングの基礎【造形原理と方式】

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造形原理

  • 3次元の形状データから、積層方向に垂直面の断面データ(Slice data)作成します
  • 断面データをもとにして積層を繰り返して3次元の計上を作成

ASTMによる定義

2009年にASTMにおいてF42委員会が設置され、積層を繰り返し付加していく加工をAM(Additive Manufacturing・積層造形)と定義し、7種の分類を決定しました(ISO52900)

  1. Binder Jetting  結合剤噴射(BJT)
  2. Directed Energy Deposition  指向性エネルギー堆積(DED)
  3. Material Extrusion  材料押出(MEX,FDM:Stratasysの登録商標)
  4. Material jetting  材料噴射(MJT)
  5. Powder Bed Fusion  粉末床溶融結合(PBF,SLS:3D Systemsの登録商標)
  6. Sheet Lamination  シート積層(SHL)
  7. Vat Photo-Polymerization  液槽光重合(VPP,SLA:光造形 3D Systemsの登録商標)

※SLS,FDM,SLAは、3Dプリンターメーカーの商標が方式名としてよく使用されています。

※※ASTM International:旧称米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)
※※AMについて:Committee F42 on Additive Manufacturing Technologies

①Binder Jetting(BJT)

名称:結合剤噴射/バインダージェット

造形原理:インクジェットで接着剤を吐出し、粉末を造形する

造形材料:石膏・樹脂・砂(鋳型)
石膏:吸湿性があり、保存に注意必要。粉塵爆発への注意。建築構造物などに使用
砂:珪砂とトルエンスルホン酸混合物をフラン系樹脂で結着。鋳造物用ダイレクト造形
熱硬化性樹脂:仮造形後に加熱して硬化
砂糖など食材粉末:フードプリンター
カルシウム系粉末:人口骨の開発

特徴:フルカラーの造形が可能・サポート材不要・造形速度が速い(>1000cc/hr)

短所:精度が低い・造形後の強度が低く後処理が必要

主な用途:ラピッドプロトタイプ(石膏)・砂型(砂)

・粉末層の上にバインダーをインクジェットヘッドより吐出し、粉末を結着させる
・着色したバインダー液を用いることで、フルカラー造形も可能
・もともとの粉体がサポート材の代わりになるため、オーバーハング造形時もサポート材不要

主な装置メーカー
メーカー 機種(例) 材料
3D Systems ProJet CJP 860Proなど 石膏・樹脂など
ExOne S-Print    M-Flex 珪砂・人口砂・金属
Voxejet VX4000 珪砂・人口砂
EnvisionTEC Viridis 3D 珪砂・人口砂
3D Systems ChefJet 食材

②Directed Energy Deposition(DED)

名称:指向性エネルギー堆積

特徴:造形速度がSLM(金属用PBF)より速い
自由曲面への造形が可能なため、リペア用途への適用が可能
SLM(金属用PBF)と同程度の高い品質

短所:造形制度が低い

主な用途:高額金属部品のリペア

主な装置メーカー
メーカー 装置 アプリケーション 備考
DMG Mori LASERTEC 65 3D 部品製造 切削とのハイブリッド
Trumpf TruLaser Cell 3000 部品製造・リペア
BaAM 3D CLAD 部品製造・リペア
Sciaky EBAM 110 部品製造・リペア

③Material Extrusion(MEX:FDM)

名称:材料押出法/熱溶解積層法(MEX Material Extrusion)
FDM(Fused Deposition Modeling) Stratasys社の呼称が一般化

造形原理:材料を加熱軟化させ、ノズルから押し出す
ソフトクリーム製造機と同じ

造形材料:熱可塑性樹脂 ABS・PC・PLAなど
・非晶性の樹脂が良く使われる。熱収縮が比較的小さいため
・簡単なプロセスのため、原理的には様々な材料を用いうる。生体材料なども可

特徴
  • 構造が簡単で信頼性が高い
    ・低価格帯の3Dプリンターは、ほとんどがこの方式。
    フィギュアなどの趣味の世界にも
    ・コンシューマー機(2万円程度から)~プロシューマー機(50万前後)
    ~エンジニアリング機(数百万円以上)まで多種の製品がある
  • 造形物の強度が高く、実用性がある
    ・ただし積層方向には、破壊強度はバルクよりかなり低い。
    強い異方性があることに注意
  • 微小な閉空間を作成できる
    ・ハニカム構造:軽量ながら丈夫なものが可能
    MEX:FDMはサポート材がなくとも、ある程度のサイズなら中空構造が可能
短所
  • 精度が低い
    ・積層方向(z方向)の形状精度は、xy面の半分程度(悪い)
  • 力学的に強い異方性
    ・積層方向には、破壊強度はバルクよりかなり低い
  • 造形界面の品質が低い(剥離・漏れ)
    ・プロシューマー以下の機器では、しばしばベースプレートから剥がれる
    (最初にしっかりとベースプレートに接着する工夫が必要)
    <対策>
    ・ベースプレート面を清浄する
    ・最初は、ノズルから材料を吐出して安定した材料を供給する
    ・ラフト(造形物とベースプレートの間の樹脂の層)を用いて、接着力を向上する
主な用途
  • ラピッドプロトタイプ
  • 一部実用部品
  • 簡易型(ブロー成型・ハイドロフォーミング)
  • 冶具
  • コンシューマー
MEX:FDMの造形原理による特性
  • SEM(走査型電子顕微鏡)やX線CT(コンピュータトモグラフィ)で見ると、いたるところに空隙がある
  • それらが破壊の起点になる/水漏れの原因にもなる
  • また弾性率や破壊強度のばらつきをもたらす
  • すなわち、MEX:FDMはいたるところ「ウェルドライン」
  • MEX:FDMには、多種の材料を扱える可能性がある
主な装置メーカー
メーカー 機種 アプリケーション サポート材
Stratasys FotusシリーズF170,270
Dimensionなど
プロトタイプ
部品製造
アルカリ水溶性樹脂サポート
Mutoh Value 3D MagiXなど プロトタイプ
Roboze One +400 プロトタイプ
部品製造
エンプラ対応
Vshaper VSHARPER 500 プロトタイプ
部品製造
エンプラ対応
Apium M220 医療用途 エンプラ対応
Arburg Freeformer プロトタイプ 多種樹脂対応
プロシューマー機とエンジニアリング機

プロシューマー機(例:Leapfrog)
・価格は数十万以下
・安定な造形を行うにはノウハウが必要
・ソフトは基本機能+アルファ
・ハードも細部まで知っている必要性がある。自らメンテが必要

エンジニアリング機(例:Fortus)
・価格は数百万以上
・ほとんどいつも安定な造形が可能
・ソフト/ハードとも安定造形のための機能が搭載されている(例:温度管理)

④Material jetting(MJT)

名称:材料噴射・マテリアルジェット

造形原理:構造体となる材料をインクジェットで吐出する

造形材料:UV硬化性樹脂・ワックス(UVランプ不要)

【特徴】
造形制度が高い
複数材料の打ち分け/混合が可能

【短所】
術用耐久性が低い
材料の安全性に難あり

【主な用途】
ラピッドプロトタイプ

【サポート材の選定で各社特徴がある】
・Stratasys:ジェル状樹脂
・3D systems:ワックス
・keyence:水溶性樹脂

 

⑤Powder Bed Fusion(PBF:SLS,金属はSLMとも)

名称:粉末床溶融結合法(粉末結晶積層造形)
Selective Laser Sintering(SLS)
金属では、Selective Laser Melting(SLM)

造形原理:粉末の表面にレーザーなどで加熱し、粉末を直接溶解もしくは焼結する

造形材料:金属:SUS,Ti合金など
樹脂:ナイロン(PA12,PA11)、PEEKなど
セラミック

Powder Bed Fusion(樹脂)

【長所】
・実用強度を有する。弾性を有する。物性の異方性も比較的少ない
バルク材料に比べて、樹脂は約80%の強度、金属では同等のときもある
ただし、造形パラメータに依存することは注意
・サポート材が不要(ただし、金属は必要)
・材料コストが比較的安い 約10,000円/kg程度

【短所】
・密度は、樹脂の場合バルクの90%程度まで(ただし他の造形法よりは良い)
液体は漏れることもある
・樹脂ではざらざらした表面性(粉末の粒径によるため、粗さ>~30μm)
・縮み、反りの発生。オレンジピールの発生
・複数種の材料の造形が困難、単色(通常は白)
・装置の導入/維持コストが高い(装置価格およそ5,000万円以上)

Powder Bed Fusion(金属)

【特徴】
材料特性が良い(鍛造品に近い品質)

【短所】
造形速度が遅い 10~50cc/hr
サポート材が必要 (耐表面張力/残留応力による反り)
装置の導入/維持コストが高い
付加工程と設備が多い

【主な用途】
航空宇宙部品試作・製造
軍事用部品試作・製造
医療部品試作・製造

⑥Sheet Lamination(SHL)

 

 

⑦Vat Photo-Polymerization(VPP:SLA)

 

 

 

 

 

 

 

 

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